Twitterでの誹謗中傷に関する対処法を解説!ツイート削除や個人を特定する方法とは

Twitterは10代・20代を中心に多くの方が利用している大人気のSNSですが、近年Twitterのツイートによる誹謗中傷被害が多数発生しています。

匿名で手軽に投稿できるうえに拡散力も高いためです。

実際、虚偽の事実が拡散されて大きな話題になった事例や、誹謗中傷によって自殺に追い込まれた事例などもあり、社会問題にまでなっています。

このため、Twitterを利用する際は、こういった誹謗中傷から身を守る術を知っておくことが必要不可欠です。

しかし、Twitter誹謗中傷のツイートの削除方法やアカウントの凍結方法、個人を特定する方法、法的手続きなどを理解していない方はほとんどいません。

そのため、この記事では、Twitterの誹謗中傷に対する削除方法や、法的な手続きについて詳しく解説していきます。

Twitterによる誹謗中傷に悩んでいるなら、この記事を参考にしてみてください。

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誹謗中傷とは

誹謗中傷とは、虚偽の内容や悪口を言いふらす行為のことです。

例えば、TwitterなどのSNSやGoogleマップの口コミ、掲示板などのインターネット上で暴言や悪口を投稿する行為、実際に面と向かって口頭で暴言をはく行為も誹謗中傷にあたります。

Twitterでの誹謗中傷の特徴

SNSの中でも、多くの人が利用しているのがTwitterです。

総務省の調査によると10代・20代のおおよそ70%がTwitterを利用しています。

出典:総務省「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

そんなTwitterによる誹謗中傷が広がっている理由は、Twitterの以下の特徴が関係しています。

  • リツイート機能による拡散性
  • 匿名性の高さ
  • 投稿の手軽さ

上記の特徴から、軽い気持ちで誹謗中傷を投稿したり、拡散してしまうといった事例が多いのです。

例えば、2019年8月に茨城県常磐自動車道で発生した煽り運転殴打事件で、デマ情報がTwitterで拡散されたという事例があります。

この事件では、無関係であるにも関わらず、被害女性が「同乗者」としてインターネット上で実名や顔写真を表示した動画が投稿され、その情報が拡散、TwitterなどのSNSで多くの誹謗中傷を受けました。

出典:あおり運転「同乗者」とデマ動画 投稿者に賠償命令 – 産経ニュース

この事例のように、Twitterでは嘘の情報であったとしても、リツイート機能を利用して簡単に拡散されてしまう可能性があるため注意が必要です。

TwitterなどSNSでの誹謗中傷の現状

TwitterなどのSNSの利用者の増加に伴って、インターネットでの誹謗中傷による被害は増えています。

総務省が公表している「SNS上での誹謗中傷への対策に関する取組の大枠について」によると、インターネット上の人権侵犯事件が平成23年には636件だったものが、令和1年には、1,985件まで増加しており、8年で2倍以上になっているのが実情です。

出典:総務省 SNS上での誹謗中傷への対策に関する取組の大枠について

さらに、TwitterなどのSNS上の誹謗中傷が増加に伴って、誹謗中傷を受けた方が自殺するなどの事件も発生しているのも大きな問題です。

Twitter社への民間の情報開示請求で日本が2年連続最多

米ツイッター社が2022年1月下旬に公表した「透明性に関する最新の報告書」によると、政府機関などから寄せられた削除要求や民間からの情報開示請求は、日本が圧倒的に世界最多でした。

この報告書によると、2021年1〜6月の間に政府機関からの削除要求は世界全体で4万3,387件、そのうち日本の政府機関からの削除要求が1万8,518件と、約42.6%を占めています。

さらに、民間からのアカウント情報開示請求に関しては世界中で460件、そのうち日本からの情報開示請求が241件と、52.3%を占めており、利用者数が世界一位のアメリカを抜いて日本がダントツの1位です。

出典:ツイッター社への民間の情報開示請求、日本が2年連続最多 米国抜く(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース

このことからも、日本がTwitterによる誹謗中傷に関して、多くの方が被害にあっており、また関心を持っているのがわかります。

Twitterでの誹謗中傷に対する法的手続き以外の解決法

Twitterでの誹謗中傷に対して、法的な手続き以外で解決する方法が2つあります。

この2つの方法は、個人でも簡単に実施できるので、誹謗中傷の被害にあったらまずは試してみることをおすすめします。

ただし、これらの方法は誹謗中傷の投稿の削除やアカウントの凍結を行うもので、誹謗中傷をしている相手に損害賠償請求や罪を問うものではありません。

それだけではどうしても納得できない場合は、法的手段も検討してみましょう。

アカウントの凍結依頼

Twitterには、アカウントの問題をTwitter社に報告する機能が設置されており、それを利用して誹謗中傷を行なったアカウントの凍結を依頼する方法があります。

アカウントが凍結されることで、そのアカウントが投稿したツイートがすべて見られなくなるため、誹謗中傷の対策としては有効です。

具体的な手順は、以下の方法です。

  1. 誹謗中傷されたツイートをスクリーンショット等で保存しておく
  2. 該当ツイートの右上にあるマークをクリックする
  3. ツイートを報告
  4. 不適切または攻撃的な内容を含んでいるという項目を選択

上記の方法で、該当のツイートがTwitterの規約に違反していると判断された場合は、アカウントが凍結されます。

ツイートの削除依頼

Twitterには投稿ツイートやアカウントの問題を運営元のTwitter社に報告する機能があり、それを利用することで削除依頼を行えます。

削除依頼は、以下の手順で行うことが可能です。

  • Twitter社のヘルプセンターにある「お問い合わせフォーム」を開く
  • 「Twitterおよびセンシティブなコンテンツを安全に使用する」という項目を選択する
  • 問題の内容を選択
  • 具体的な問題の内容や該当ツイートのURL、誹謗中傷をしたアカウント名などを記入する
  • 自身の個人情報を記入する
  • Twitter社から記入したメールアドレスに本人確認のメールが届く
  • 顔写真付きの公的な身分証明書の写しを送る
  • 数日〜10日程度後にメールで返信がある

上記のように、少し手続きは面倒ですが、該当ツイートの削除依頼を行うことができます。

送信防止措置依頼

送信防止措置とは、依頼されたプロバイダーやサイトの管理者が、該当する誹謗中傷の投稿を削除することです。

前述したTwitterの削除依頼フォームからの削除依頼に対応してもらえなかったケースは、送信防止措置依頼を行なって該当ツイートの削除を依頼する方法があります。

ただし、削除請求を行なったとしても、削除するかはTwitter社の判断に委ねられるため、必ずしも削除できるわけではありません。

ちなみに、送信防止措置依頼に必要なフォーマットなどは、以下の一般社団法人テレコムサービス協会のホームページで公開されています。

参考:プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会 | 一般社団法人テレコムサービス協会

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Twitterでの誹謗中傷でも条件を満たせば名誉毀損罪や侮辱罪が成立する

Twitterで誹謗中傷のツイートをされた際に、以下の条件を満たしていると名誉毀損罪が成立します。

  • 不特定多数の人が見る可能性がある
  • 事実の摘示(具体的な事実の投稿で虚偽の事実も含む)
  • 相手の特定
  • 相手から社会的評価を低下させる内容の投稿

名誉毀損罪の特徴は、実際に真実の内容をツイートした場合に成立する点です。

例えば、「○○さんが不倫をしていた」というツイートをした際に、不倫が事実だったとしても、名誉毀損罪に問うことが可能です

一方で、侮辱罪が成立するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 不特定多数の人が見る可能性がある
  • 事実の摘示をしない(具体的な事実の投稿で虚偽の事実も含む)
  • 相手の特定
  • 相手から社会的評価を低下させる内容の投稿

このように、名誉毀損罪とは異なり、事実では無い内容をツイートした場合に成立します。

例えば、Twitterで「仕事ができない」、「バカ」などと罵られたケースでは、侮辱罪に問える可能性があるのです。

リツイートをしたユーザーも対象になるのか?

リツイートをしたユーザーも、名誉毀損罪や侮辱罪の対象になる可能性はあります。

実際、刑事罰が下ったわけではありませんが、損害賠償が認められた事例も存在しています。

ジャーナリストの伊藤詩織さんが起こした訴訟で、2021年11月30日に東京地裁が、投稿者だけでなくリツイートをした方にも賠償を命じる判決を言い渡しました。

この訴訟を起こす原因となったのが、漫画家のはすみとしこさんが2017年6月〜2019年12月までに、伊藤さんを思わせる女性のイラストに「枕営業大失敗!!」などの文字を記載した画像と、「顔にこだわった!顔に!!まぁ、だいたいこんな感じじゃね?と理解w」とコメントをつけたツイートなどを5件投稿したことです。

この投稿を医師、別の漫画家がリツイートをしており、裁判所はこのリツイート行為を元ツイートの内容に賛同する表現行為として判断、リツイートした2人に対しても賠償を命じる判決を言い渡しています。

出典:伊藤詩織さん名誉毀損訴訟 はすみとしこさんらに賠償命令(週刊金曜日) – Yahoo!ニュース

安易な気持ちで誹謗中傷の内容をリツイートしたものであっても、刑事罰に問える可能性があることや、損害賠償を請求することができることを覚えておくようにしましょう。

慰謝料の相場

名誉毀損の慰謝料は、10〜100万円程度ですが、ご自身の影響力が大きいほど高額になりやすいです。

例えば、誹謗中傷をされた方が芸能人や有名なインフルエンサーの場合は、数百万になるケースもあります。

影響力が大きい方ほど、一般の方よりも大きな損失が発生するためです。

一方で、多くのフォロワーを抱えたインフルエンサーなどが誹謗中傷したケースも、責任は重いと見做され、慰謝料が高額になる可能性が高くなります。

慰謝料を請求するために必要な情報

Twitterの誹謗中傷で慰謝料を請求するためには、以下の情報が必要になります。

  • 相手を特定するための情報
  • 相手の投稿内容の証明

相手の投稿内容の証明に関しては、該当ツイートをスクリーンショットで保存するなどで容易に証明できますが、相手を特定するのは容易では無い可能性があります。

実名でTwitterを行なっているケースはともかく、匿名で行なっているケースでは相手を特定するためには、様々な手間が必要です。

任意で慰謝料の支払いに応じない場合は少額訴訟を利用する方法がある

少額訴訟とは、60万円以下の金銭請求をするときに利用できる簡易的な裁判のことです。

通常の訴訟よりも手続きが簡略化されており、1日で判決を出してもらうことが可能というメリットがあります。

誹謗中傷の相手に対して任意で慰謝料請求を行い相手が応じない場合には、少額訴訟の利用を検討してみてください。

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Twitterでの誹謗中傷に対する法的手続き

Twitterでの誹謗中傷に対して法的手続きを行う際は、まずは被害を食い止めるためにツイートの削除から行います。

その後、ツイートを行った個人を特定するために、発信者情報開示請求を行い個人が特定できたら、誹謗中傷の削除や慰謝料を求める訴訟を提起するという流れです。

ただし、途中で、示談などで解決し裁判にならないケースもあるため、必ずしも裁判を行うわけではありません。

Twitter社に対して誹謗中傷の削除を求め裁判所に仮処分の申し立てを行う

まずは、被害を食い止めるために誹謗中傷ツイートを削除することが重要です。

このため、まずはTwitter社に削除を請求しますが、応じない場合は、裁判所に仮処分の申し立てを行うことでも削除できます。

ただし、仮処分の申し立てが認められるには、以下の2つの要件を満たさなければなりません。

  • 被保全権利(名誉を侵害されているなど)
  • 保全の必要性(早急に投稿を削除する必要があるなど)

ちなみに、Twitterは拡散力が高いため、保全の必要性が認められる可能性は十分にあります。

仮処分の要件を満たさない場合や慰謝料請求を行う場合は発信者を特定して請求する

仮処分の要件を満たさない場合や慰謝料請求を行う場合は、以下の流れで手続きを行います。

  1. Twitter社に対して任意の開示請求を行う
  2. 応じない場合はTwitter社に対してIPアドレス開示の仮処分の申し立てを行う
  3. プロバイダーに対してIPアドレスに基づく契約者の発信者情報開示請求を行う
  4. 応じない場合はプロバイダーに対して発信者情報開示請求訴訟を提起する
  5. 発信者に対して誹謗中傷の削除や慰謝料を請求する
  6. 発信者が応じない場合は誹謗中傷の削除や慰謝料を求める訴訟を提起する

上記のように、プロバイダーが発信者情報開示請求に応じてくれない場合は、慰謝料を求める訴訟と発信者情報開示請求訴訟を行う必要があります。

このように、複数の裁判を行う必要があるケースもあるため、手続きが複雑です。

Twitterでの誹謗中傷に対して法的手続きを取るなら弁護士に依頼するのがおすすめ

Twitterでの誹謗中傷に対して慰謝料請求などの法的手続きを行うなら、弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士に依頼することで、多数のメリットがあるためです。

ここでは、弁護士に依頼するメリットについて解説していきます。

弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼する主なメリットは、以下の2つです。

  • 弁護士が動いていることがわかるとツイートが削除されることが多い
  • 素人では難しい法的手続きを代わりに行ってくれるため労力を少なくできる

特に法的手続き代わりに行なってくれることは、大きなメリットです。

個人に行うと非常に時間と手間がかかり、日常生活に支障が出てしまう可能性があるため注意が必要です。

ちなみに、依頼料に関してですが、ネット誹謗中傷投稿の削除の業務を行っている弁護士事務所は今のところ少数ですので、標準的な料金体制の事務所を頑張って探して依頼するほかありません。

Twitterの誹謗中傷に関する事例

Twitterの誹謗中傷に関する事例を2つ紹介していきます。

事例を参考にして、Twitterの誹謗中傷の理解を深めてください。

Twitterの誹謗中傷の事例

四国放送(徳島市)の公式ツイッターアカウントで、山口那津男代表をはじめとして公明党を誹謗中傷する投稿があった事例です。

2021年12月に「公明党って要らないよね」のハッシュタグをつけたうえで、「一族郎党ともに地獄へ堕ちろ、カス」などのツイートを行いました。

この事例では、訴訟には発展していませんが、四国放送はこの社員を懲戒解雇にしています。

出典:四国放送の誤爆社員「懲戒解雇」は厳しすぎる? ツイッターで「公明党」を中傷(弁護士ドットコムニュース) – Yahoo!ニュース

Twitterの誹謗中傷で罪に問われた事例

2020年5月にTV番組のテラスハウスに出演していた木村花さんが、TwitterなどのSNSで誹謗中傷されたことにより自殺した事件で、SNSでの誹謗中傷を行なった男性が罪に問われました。

木村花さんの番組内での言動に対して、Twitterで「死ねや、くそが」や、「きもい」などのツイートをして、木村さんを侮辱したとされています。

この投稿により、最初に福井県の30代男性が書類送検されており、2021年に侮辱罪で刑事処分を受けました。

ちなみに、この事件では、2020年12月にも大阪府の20代男性が書類送検されており、2021年3月に侮辱罪で略式起訴されています。

出典:木村花さんを中傷した疑い、2人目を書類送検へ 「死ねや、くそが」とTwitterで侮辱か:東京新聞 TOKYO Web

まとめ

Twitterでの誹謗中傷の被害に遭っている方の中には、「誹謗中傷のツイートに対してどういった対応をとれば良いのか」と悩んでいる人も少なくありません。

ツイートの削除依頼の方法は知っていても「Twitterでの誹謗中傷が罪に問える」ことを知らない方や、慰謝料請求をしたくても法的な手続きが複雑で、どう対応すれば良いのかわからない方が多いためです。

そのため、この記事では、Twitterの誹謗中傷に対する削除方法や、法的な手続きについて詳しく解説してきました。

Twitterによる誹謗中傷に悩んでいるなら、この記事を参考にしてみてください。

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    弁護士土屋勝裕
    弁護士法人M&A総合法律事務所の代表弁護士。長島・大野・常松法律事務所、ペンシルバニア大学ウォートン校留学、上海市大成律師事務所執務などを経て事務所設立。400件程度のM&Aに関与。米国トランプ大統領の娘イヴァンカさんと同級生。現在、M&A業務・M&A法務・M&A裁判・事業承継トラブル・少数株主トラブル・株主間会社紛争・取締役強制退任・役員退職慰労金トラブル・事業再生・企業再建に主として対応
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