インターネットが普及した現在では、ネット上で、真実と違うにもかかわらず、会社の誹謗中傷をされ、風評被害を受けるというケースが発生しています。
インターネットは匿名性が高いため、発信者が誰か分からないことも多く、被害者が相手方を特定して削除をさせたり、直接損害賠償を請求したりすることは極めて困難です。
しかしながら、会社の誹謗中傷をされた結果、取引の停止をされたり、消費者が商品を購入してくれないということになって場合には、損害は大きくなり、書き込みを行った者に対して訴訟を提起したい、と考えるのは自然なことでしょう。
もっとも、発信者情報については、ログの保存期間との関係で、一定期間が経過するとプロバイダにおいて自動的に削除されてしまい、そもそも得るべき情報が存在しないいう事態になってしまいますから、早期に対応をする必要があります。
まず、プロバイダ等に対して、発信者の情報を提供するよう請求することが考えられます。
他方で、プロバイダやサーバーとしては、発信者の個人情報については、個人情報保護という観点から回答を得られない場合も当然あります。
プロバイダから任意に開示を受けられない場合には、裁判所を通じて手続きをする必要があります。
裁判手続きに当たっては、発信者情報開示のための仮処分の申立てを行い、さらに発信者情報の消去禁止仮処分の申立てを行い、発信者情報を消去させないようにしたうえで、裁判所に対して発信者情報開示請求をすることとなります。
裁判において、発信者の住所、氏名の開示を命じる判決が出た場合には、判決に基づいて、プロバイダに対し、発信者の住所、氏名の開示を求めます。
裁判所の判決に従い、接続プロバイダが接続をした者の住所、氏名を開示することにより、発信者を特定することができます。
発信者を特定した後に、発信者に対し、民事上の損害賠償の請求や、刑事告訴等の法的措置を講じることとなります。